池田 若菜 | WAKANA IKEDA

作品づくり。良い感じだぞと思う日と、こんなの作ったところでつまらないだろと思う日が交互に来るので進まない。どこかで勢いをつけないと、匙を投げてしまいそう。

試聴室

5/1

遠藤ふみさんとデュオat神保町試聴室。遠藤さんとは2回目。前はpermianだったのでピアノではなかったから、ピアノの遠藤さんとのデュオは初めて。前にftarriでショーンさんとのトリオで演奏したことはあった。グランドピアノのふくよかな音でも、ミチっとしすぎず風通しのよいトーンは遠藤さんだからなんだろうなと思いつつ、寄りかかりながら演奏していました。落ち着いてできていたと思う。逆にいい意味で集中しすぎず適当にやる時間も持てたのが、個人的にはよかった。時間を大切に使ったり、時間を急に放り投げてみたりするイメージ。安心して寄りかかれているからこそ、近くなりすぎたら、相手に対して手を広げてグイーッと伸ばして体を向こうに追いやり、その反動で自分も逆サイドにすこし離れる感じで、自分との距離を取ったりもできる。そうしても大丈夫、安心だと思えないと、そうはできない。

赤間さんのe.a.c.dは私からやりませんかと遠藤さんへお声がけしたもので、直感的にプログラムに赤間さんの曲が入ってたら素敵なのではないかなとイメージ。意識のフォーカスが、楽譜からの指示という新たな磁場ができるせいで、良い具合に互いのプレイに集中しすぎずに進める。赤間さんの曲は、多義的な解釈ができるけれど、演奏した時に感じることに共通点がある。うまく言えない。赤間さん、ありがとうございました!

遠藤さんの曲、もっとできたかもと思うアイディアあり、またやる機会があったらその時には。終わってから帰路で色々思いつく。Repeat After Meは元はピアノで作った曲なので(今日遠藤さんに弾いていただいたフレーズが原案)ピアノで弾いてもらえる機会を持ててすごく嬉しかった。ありがとうございます。

試聴室は天井が高くて、音が丸く飛んでいくのがいいな。グランドピアノと一緒に演奏することと、あれだけ天井が高い会場だということが相乗して、座ってやるよりも立ってやるほうがいいという結論に自分の中でなり、初めて立って即興をやった。体のコントロールが圧倒的にやりやすいという気づき。重心が勝手に下に行くので、上半身が楽。あと、姿勢が微妙になったときに、位置を変えやすい。足元がすこし軋んでいて音が気になったけれど、演奏しながら音がしないところに、あんまり気にしすぎることなく移動できた。姿勢が姿勢にしても環境にしても、何かあれば軽く動けばいい。でもやっぱり、他の会場だと立ってやるのは感覚的になんか合わない。この場所だからできること。

GWの遠藤さん連続出演企画、5/1以降まだまだ続きます。他の公演もとても面白そう。皆様ぜひ。

ソウル滞在期2023

書こうと思って忘れる私のあるあるパターン。昨年のソウルツアーの日記です。食べ物の話が多い。

 

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体調も少し良くなってきたし、どこかに軽く出かけたいなあとあてもなく飛行機の値段を見ていたら11月のソウル便がとっても安い。ピーク時に比べ、寒いから値段が下がっているのだと思う。前から行ってみたいと思っていたし、近いのですぐにチケットを取ることに。lo wieさんにも連絡をして、日程を決めて、1カ月くらいでだだだっと決めた。パスポートも有効期限が切れていて、更新にあれこれ手間取る。というか更新自体は面倒な作業はほぼないのだけれど、マイナンバーカードでセンターに行かなくても取れるとかそういう情報に翻弄されかなり無駄な行ったり来たり。情報をスマホから入れてくれと言われ小一時間かけて入れて、完了ボタン押したらあなたの自治体は対応してないと。そんなことあるかーいとずっこけた…ただの愚痴です。。

 

11/25

超余裕を持って家を出たのに、家から徒歩1分の駅でさっそく電車が止まっていたりなんやかんやで、着いたのはギリギリ。というか間に合ってよかった。空港着で夕方。そこから移動で結局19時くらいに市街地。私が調べてなかったのが悪いのだけれども、空港から市街地への電車が本数が少なくて(特急が。各駅はある)よくわからないまま2本くらい見送り、空港でお茶飲みながらダラーっとしていたのも時間がかかった理由かも。みたことのない、味わったことのない甘いお茶を飲む。市街地でご飯を探すのが面倒になり、コンビニで適当に買ったパンを食べて、ホテル周辺を散策したり。これも知識がなくてよくわからなかったけれど、一人で簡単に食べられる系の飲食店があまりないのかも?お店に入って量が多くて残すのは嫌だったので、とりあえずパンとヨーグルトでなんとなく食事を終えた。すっごい寒い。

11/26

今日はコンサートの日。ソウルにある低めの山で行うことになっている。昼過ぎにlo wieさんと待ち合わせ。ランチを誘ってくださり、一緒に食べる。hankilさんも一緒。ちゃんとご挨拶するのは初めて。連れて行ってもらったお店、すっごくお野菜美味しくて最高だった!!どのお野菜も味が濃くて、新鮮な感じ。葉っぱでお魚とかお肉をくるっと巻いて食べるのが下手で、一回手が真っ赤に(唐辛子のタレで)なった。見かねて2人が食べ方をレクチャーしてくれたので助かった。おはずかし。lo wieさんとは2016年にイギリスで、赤間涼子さん、池田陽子さんと共に4人でコンサートツアーをした。それ以来もしかすると会っていなかったかもしれないけれど、話していてとってもリラックスできたし、なんだかホッとした。

ランチの後はコンサート。namsanは今日のコンサートを行う山の名前だと思っていたら違った!当初はnamsanでやっていたけれど、今は別の山らしい。(実際にコンサートをした山の名前は忘れた。)どうやら韓国語も日本語も山のことは san と言うみたい。おもしろい。

コンサートにはhankilさん、そしてvkhncさんが来てくださった。計4人で山に行く。その前に山の下にあるカフェで集合。スコアを配り、それぞれの作品について短く説明。めっっちゃくちゃ寒いだろうなと思っていたので、ムクムクに着込んだ。雪が降ってもおかしくない気温。

冬の山は葉がすっかり落ち、木のまわりを縫うように、斜面を冷たい風が流れていく。足元の葉がパリパリ音を立てて崩れる。生命の気配が薄い。眠りの中にある自然。4人でたまに会話を交わしつつ山を歩き、頂上では林檎を食べた。vkhncさんが剥いた林檎を持ってきてくださっていて、その林檎を4人で食べた。穏やかなしあわせ。冷たい風、酸味と甘み、歯触り、静かな山頂の景色。

山を降りながら、昔その山の土地を持っていた富豪のお墓を見た。一族の力関係が墓の大小や場所に現れている。端においやられたご夫婦のお墓は慎ましく小さな石が置かれていた。

山を下り終え、拍手してコンサートは終わり。そのあとはカフェに行って、またいろいろお喋り。本のこと、映画のこと、最近の流行のこと、音楽のこと、政治や文化、杉本さんがシャワーでカップラーメン淹れてた話、etc。帰国後の話だけれど、hankilさんおすすめの韓国ゾンビドラマ『キングダム』、面白かった!

この日の夜はどうしたか記憶うろ覚え。おそらくホテルに戻った後で大きいスーパーに行って、棚を眺めて楽しんだような。帰り道で買った Manjoo Kingという焼き菓子。サクサクしていてジャンクなお味。パワー系で美味しい。あと見た目がかわゆい。

11/27

この日は特に予定もなくぶらぶら。午前はホテルで仕事をして、午後から外出。お昼は気になっていた韓国おにぎりのお店に行ってみた。ソウル滞在3日目になるけれど、韓国らしい料理は昨日の昼しか食べていない。急に食い意地がはって、急いで調べて出かけた。五穀米のおこわおにぎり、ひまわりの種と何かの葉っぱのおにぎり。どちらも美味しい!ほっこりした。

歩いていたら、どうやらキムチの仕込みをしているみたい。ニュースでもやっていたので全国的なキムチ仕込みシーズンなのかな。あとはザハ・ハディドさんの建築を見たり、とにかくぶらぶら。街を歩いているだけでも楽しい。ただ、寒い。

 

 

11/28

今日は一人で録音に出かけるべく、ソウルを流れるハンガンという川沿いへおでかけ。昨日より若干天気が良いので、外で少し録音するのもいけるだろうと思った。ただ、まあ実際ものすごく過酷だった。市街地から川沿いへ移動すると、地下鉄の出口を出てすぐにもう風の質が違う。寒い!!!!! 川沿いの強い風が容赦なく耳の横を突き抜ける。寒さで耳が痛い。こんな寒くて風が強ければ、そりゃあ川沿いには誰もいない。コンクリで固められた川沿いの遊歩道が、より寒々しさを演出している。。。これで心が折れては、と座るのに良さそうな場所を探すことに。高架下など、コンサートに良さそうな場所もいくつかある。晴れて暖かい日なら楽しそう。それにしても、どこにも人がいない。

川辺は整備されていて座ってくつろぐのに良い場所がいくらでもある。人もいないので選び放題すぎて、逆にどこに座ればいいかわからなくなる。適当に決めて、凍えながら座り、30分ほど静かにハーモニカを吹いたりした。寒すぎて金属でできたハーモニカを持つ手の感覚もない。半ば意地。

静かな人気のない川辺。強くて冷たい風。ゆっくり流れる川。

満足したので、そのあとは急いでカフェへ。近くにスターバックスがあったので入ってコーヒーを飲んだ。(ソウルには日本の2倍くらいスターバックスがある気がした。どこにでもある)ここまでスターバックスに感謝したのは初めてだったかもしれない。暖かいコーヒー、暖かい店内。

スターバックス出たあと、雪が降ってきた。。。そのあとは一昨日教えてもらったおすすめの本屋さん(The Book Society)に出かけ、近くのギャラリーを見て、気になっていた飲食店でエゴマのすいとんを食べてホテルへ戻る。エゴマのすいとん、美味しかった、、、。冷え切っていた体が元気になった。

駅で見かけた無人の本レンタル機、すごい!図書カードで借りられるみたい。無料で使えるなんていいな。日本にも欲しい。

11/29

この日が帰国日。早朝便なので、深夜3時くらいにソウルを出なければならない、、、電車がない時間なのでバスで移動。バスの情報についてNeverを信用して良いのかわからず(韓国ではGoogle Map より Neverというアプリが主流になっている。日本にもかつてあった”Neverまとめ”の、Neverです。 )、始発バスに乗れなかった場合飛行機に乗れない可能性もあったので、28日の夜にバス停に行って時刻表を確認したりも。バスは無事時間通りに来たし、特に難しいこともなく、ほっとした。空港についてからは後はぼーっとしていても大丈夫。すぐ東京に着く。

短い滞在だったけれど、十分に楽しめた!また行きたいな。

コンサートを企画してくれたlo wieさん、改めてありがとう!

今週は風邪をひいていて、だいぶ良くなってきたにもかかわらず念の為多めに寝たり休んでいるせいか眠れず、なんとなくブログを開いてみた。

何を書こうかなというところから始まってしまうけれども、今この日記を書いていて沼倉さんから託された原稿をやらなければいけないことを思い出して少し冷や汗が出た。これは来週。。。

それで、今年やろうとしている自分の制作について、気が変わってしまう前に、今ぼんやり考えていることをメモ的に書こうと思う。とりあえず、これは去年くらいから言っていて実行できていないけれどもライブの本数を減らしたいと思っている。今決まっている(告知されていないものや、約束として今年やろうと決めていた企画を含む)ライブはもちろんやるつもりでいて、それ以外はできないものが多いかもしれない。

理由を書くにあたり、即興と作曲作品と、あとは録音についてメモ。

以下はあくまで私の今の体感という話でしかなく、音楽のジャンルについての話ではない前提で書いていますが、即興は奏者にフォーカスされる分量が多く、あなたはどうしますか?流れに乗れますか?乗れませんか?乗りませんか?的な圧が強いと感じることがあり、性分的に正直自分はその波に乗れないのでパスとかどうもしたくないですとか言いたくなってしまうというか。基本的には協調性を大事にしたいと思っているあまり、気にしなきゃいいのに、そうした態度が顔を見せる自分が嫌になってしまって、へこみやすいのであまり数多くできない。そもそも協調性について脅迫的に取り違えている。(そうした態度が顔を見せない時は、うまくいったかもしれないと素直に思える即興になっている)

対して作曲ものは、作曲者と演奏者はイーブンだと思っていて(それはバッハ、モーツァルトやサティ等の純クラシックだったとしても)、ライブでやっている時はその場所にいないのに場を支配している第三者が存在していることが心地よい。自分の作品だったとしてもそうで、演奏しているときはただ演奏家になれる。集中すべきことが作曲である程度示されているので、そこに気持ちを置ける。しかし、自分が作曲していると、この感覚をどう書けばいいのかわからない的な記譜上の問題にぶつかり、結局もやっとしたままになることも多い。(結果としては良くても、やりたかった構想は別なのにな、的なこと。奏者の問題では決してない。構造上の話。)

即興にしても作曲にしてもスキルの問題なのではというのはあるけれども、そのスキルを磨きたいかどうかという問題になってくるので、一旦置いておく。

それで紆余曲折色々考えた結果、自分の作曲作品を自分で演奏して作品を作るならば、ライブではなく録音でしか達成し得ないのではと思い至った。言葉があるからこそ何かを認知できるともいうけれど、寝る前の消灯した部屋の暗闇で私はぼんやりと光のグラデーションを見て、そこで何とも表現しにくい何かを感じることもある。それを写真に撮ろうとしても、その感覚を共有するものとして機能しないので、ある程度の時間をかけて多方向から見ながら抽象画として絵を描くみたいなことが、今やりたいことなのだと思う。漠然としていて何だそれはという感じかもしれないけれど、自分的にははっきりと構図は見えている感はある。去年今年でいくつか絵を買ったことも、薄く影響を及ぼしているかもしれない。

ライブを減らそうかなあと思っているのは、Repeat After Meの後で自分の制作が止まってしまっていて、そろそろやりたいと思っているけれども進まない焦ったさに鬱々としてきたのも理由で、今年やってしまわないと、このまま自分のやる気が立ち消えそう。自分はかなり不器用な方で、1つのことをやるのに、そのことと直接的に関係ないことを10000くらいやらないと(やる余裕を持てないと)1つのことが十分に達成できない。マルチタスク的なものも、仕事などだと仕方なくせざるを得ないが、本当はものすごく苦手。ライブが多いと、締め切りがそちらの方が先なので気がそちらに行ってしまい、さて録音はライブの後かなとなってしまう。そうするとライブが終わった頃には次のライブがあり、と連鎖で何も動けない状態になってしまうことが多い。ライブのお誘いは大変嬉しいし、人と一緒にやるのは大好きだし、私を気にかけてくださることに感謝しかない。お断りするのはとてもおこがましい気持ちになるし、自分がもっと色々できる人ならば何でも無限にやりたい。ライブがあることで成立している場所があるし、そうした場所への感謝もある。

とりあえず、今すでに決まっているものは、ちゃんとやりたい。

色々文章ひどい部分も多いですが、たまにはよしとしようか。雑記でした。

年末年始の休みモードに乗っかり、スーパーもお休みになるからと、食べ物をまとめ買いした。普段、あまりまとめ買いをしない。食料に関してストックが多すぎる状態だと、後で無駄になる可能性があるので、過度な買い溜めは控えている。それでも年末年始はここぞとばかり買い溜めてしまった。恥ずかしい。

必要なものもあるけど必要ないものも沢山ある。夫にやりすぎたと話をして気がついたけれど、私は家にこもってただ休みたくて仕方がなくて、とことんダメになって、溶けるように寝ていたくて、それが永遠に続けばいいと思っていて、食糧が尽きるまではそうしていたいと思っているから買い溜めたのではないかと思った。

だいたい、あぁもう籠っていたいと思う時は、私は少し疲れている。誰かに会っても不遜な態度をとってしまう可能性もあり、それによってさらに自分が苦しむことになるので、とにかく沢山寝て、病人のように、ひたすら休み続けることにしている。

それなのに、年末年始は年末年始的な忙しさで、休むことが、十分にできなかった。料理したり掃除したり実家に帰省したり他の人から見たら、いやいや休んでるでしょうと言われると思うけれど、とにかくベッドから動かずに寝ることが、私にとっての休みだ。

1/4の午後は思いきって全てをやめて休むことにした。ひたすら寝まくってすごく満足した。

だらだらしながら、読み落としていた本や記事を読む。

私はケーキの中でも生菓子が好きで、ちょくちょく店を調べては買いに行って家で食べる。マニアみたいな感じではないので、そんなに詳しくはない。さまざまな技法を組み合わせて作られたケーキを食べると、美味しさに対する喜びだけでなく、そこに込められた技術と、それを習得するまでにかかった年月に、途方もない気持ちになり感動してしまう。違う種類の食材を使って、違う技法で層にして、、どれだけ手間がかかっていることか。

日本の生菓子業界で長年絶大な人気を誇るパティシエ、ピエール・エルメさんのインタビューを読んだ。主要デパートに複数店構える巨大スイーツ工房にもかかわらず、ケーキのクオリティが安定していて、食べるたびに驚く。(コアなファンからしたら、昔は…みたいなのがありそうだけど、それは私は知らないので考慮に入れない。ピエール・エルメ工房には、おそらく数十人、いや下手したら数百人のパティシエが在籍し、チームプレイでケーキを仕上げていると思う。)

近年の価格高騰で千円台に突入したケーキもあるみたいだけれど、食べた瞬間に飛び出し絵本のように目の前にバタバタっと広がる、小麦やバター、クリーム、花や果実のエッセンスの芳香を浴びると、価格のことや、カロリーは一旦どうでも良くなる。

そんなピエール・エルメさんのインタビューに、創造性について以下のような一文があった。(少々意訳してます)

「創造性を育むには、まず素材の知識。そしてテクニック。あとは理性を超えるインスピレーション。」

書き初めにして壁に貼りたいくらい、その通りだなと思った。

あと、美味しさというものに制約を感じることはないかという質問に対しては、笑顔のムードで軽快にノーと応えていた。なんだか私は、幸せな気持ちになった。