池田 若菜 | WAKANA IKEDA

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news - 2024.1

年末年始の休みモードに乗っかり、スーパーもお休みになるからと、食べ物をまとめ買いした。普段、あまりまとめ買いをしない。食料に関してストックが多すぎる状態だと、後で無駄になる可能性があるので、過度な買い溜めは控えている。それでも年末年始はここぞとばかり買い溜めてしまった。恥ずかしい。

必要なものもあるけど必要ないものも沢山ある。夫にやりすぎたと話をして気がついたけれど、私は家にこもってただ休みたくて仕方がなくて、とことんダメになって、溶けるように寝ていたくて、それが永遠に続けばいいと思っていて、食糧が尽きるまではそうしていたいと思っているから買い溜めたのではないかと思った。

だいたい、あぁもう籠っていたいと思う時は、私は少し疲れている。誰かに会っても不遜な態度をとってしまう可能性もあり、それによってさらに自分が苦しむことになるので、とにかく沢山寝て、病人のように、ひたすら休み続けることにしている。

それなのに、年末年始は年末年始的な忙しさで、休むことが、十分にできなかった。料理したり掃除したり実家に帰省したり他の人から見たら、いやいや休んでるでしょうと言われると思うけれど、とにかくベッドから動かずに寝ることが、私にとっての休みだ。

1/4の午後は思いきって全てをやめて休むことにした。ひたすら寝まくってすごく満足した。

だらだらしながら、読み落としていた本や記事を読む。

私はケーキの中でも生菓子が好きで、ちょくちょく店を調べては買いに行って家で食べる。マニアみたいな感じではないので、そんなに詳しくはない。さまざまな技法を組み合わせて作られたケーキを食べると、美味しさに対する喜びだけでなく、そこに込められた技術と、それを習得するまでにかかった年月に、途方もない気持ちになり感動してしまう。違う種類の食材を使って、違う技法で層にして、、どれだけ手間がかかっていることか。

日本の生菓子業界で長年絶大な人気を誇るパティシエ、ピエール・エルメさんのインタビューを読んだ。主要デパートに複数店構える巨大スイーツ工房にもかかわらず、ケーキのクオリティが安定していて、食べるたびに驚く。(コアなファンからしたら、昔は…みたいなのがありそうだけど、それは私は知らないので考慮に入れない。ピエール・エルメ工房には、おそらく数十人、いや下手したら数百人のパティシエが在籍し、チームプレイでケーキを仕上げていると思う。)

近年の価格高騰で千円台に突入したケーキもあるみたいだけれど、食べた瞬間に飛び出し絵本のように目の前にバタバタっと広がる、小麦やバター、クリーム、花や果実のエッセンスの芳香を浴びると、価格のことや、カロリーは一旦どうでも良くなる。

そんなピエール・エルメさんのインタビューに、創造性について以下のような一文があった。(少々意訳してます)

「創造性を育むには、まず素材の知識。そしてテクニック。あとは理性を超えるインスピレーション。」

書き初めにして壁に貼りたいくらい、その通りだなと思った。

あと、美味しさというものに制約を感じることはないかという質問に対しては、笑顔のムードで軽快にノーと応えていた。なんだか私は、幸せな気持ちになった。